政府は、電源別の最適な組み合わせを示す「ベストミックス」を柱とする新たなエネルギー基本計画を来夏までにまとめる方針。政府による1キロワット時の発電コストの試算では、原子力が8.9円、石炭火力が8.9円、LNG(液化天然ガス)火力が10.5円、風力が10.3-17.9円、地熱が8.2-10.4円、ガスコージェネが10.3円、太陽光(メガソーラー)が34-49.3円、石油火力が35.5円とされた。コスト的には石炭火力やLNG火力が原子力発電をカバーする最有力だが、温暖化ガスの発生問題や原料の長期にわたる安定調達に不安が発生する可能性がある。やはり、風力や太陽光のコストダウンが求められることになりそうだ。 

 風力や太陽光などのウエートを高める場合、自然を相手とするだけに気候条件によって発電量にバラツキが発生することが想定される。それを平準化するシステムや電力の流れを供給側と需要側の両方から制御し最適化することができる、スマートグリッド(次世代送電網)の整備が進められることになろう。すでに世界では、UAE(アラブ首長国連邦)の「マスダール・シティ」、中国の「天津エコシティ」などでスマートグリッドを活用したプロジェクト「スマートシティ」構想が動き出している。国内でも福岡県北九州市、神奈川県横浜市、愛知県豊田市、京都府けいはんな学研都市で、社会実証が行われている。また、東日本大震災で被害を受けた地域の再生で、スマートシティを導入する政策が取り入れられる可能性もあり、電力不足を補うさまざまな取り組みが進められ、関連銘柄への刺激材料となることが期待される。 

<主な関連銘柄> 
 スマートメーター関連―東芝<6502.T>、富士電機<6504.T>、大崎電気工業<6644.T>、東光電気<6921.T>など 

 送・配電関連―明電舎<6508.T>、安川電機<6506.T>、高岳製作所<6621.T>、日新電機<6641.T>、ダイヘン<6622.T>など 

 太陽電池―シャープ<6753.T>、京セラ<6971.T>、三菱電機<6503.T>、パナソニック<6752.T>、昭和シェル石油<5002.T>など 

 風力発電―日本風力開発<2766.T>、日本製鋼所<5631.T>、三菱重工業<7011.T>、日本精工<6471.T>、NTN<6472.T>、シンフォニア テクノロジー<6507.T>など 

 地熱発電―三菱重工業<7011.T>、日立製作所<6501.T>、東芝<6502.T>、富士電機<6504.T>、三菱マテリアル<5711.T>、三菱ガス化学<4182.T>、三井金属<5706.T>など 

 バイオマス発電―中外炉工業<1964.T>、住友重機械工業<6302.T>、酉島製作所<6363.T>、日立造船<7004.T>など